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【WJ】短編

第11章 【甘】とっておきのお菓子/及川徹・岩泉一


「遥香ちゃんは本当に徹にそっくりね。」
「兄妹みたい。」


 近所に住む、四つ年上の従兄弟である徹にそっくりだと言われ育ってきた。私自身も徹が好きだったから嬉しかった。徹も多分、可愛がってくれていたと思う。
 徹の幼馴染みで同じくご近所のはじめちゃんとよく三人で朝から晩まで遊んだ。今になって考えれば、よく四つも歳の離れた、しかも女の子と一緒に遊んでくれてたな、と思う。私がいたから出来なかった事だって沢山あるだろうに。

 小学校三年生の時、親の仕事の都合で東京へ引っ越す事になり、友達と離れる云々より、徹とはじめちゃんと離れることが辛くって、わんわん泣いた。そんな私にいつでも遊びにおいでと声を掛けてくれた中学生になった徹。あんなに沢山遊んでいつも一緒にいたのに、そんな一言で片付けてしまう徹がなんだか大人みたいで少しそれがまた悲しかった。はじめちゃんもまたな、なんて言って笑顔で見送ってくれたけど、小学生でまだ子供だった私は二人が薄情に見えた。
 引っ越しだからといって、そのまま疎遠になる事はなかったけど、心の何処かでまだお別れした時の事が引っかかっていて、悲しい気持ちはズルズルと引きずって、気が付けば私も中学生。徹と一ちゃんは高校生になっていた。

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