第7章 【切】それは不毛な恋でした/赤葦京治
「なんで?白福さんの彼氏は赤葦さんですよね!」
「俺は二番だから。」
二番だから。その言葉の意味が理解出来なかった。そんな私の心を読んでか、赤葦さんはこう言った。
「あの二人が付き合ってるのは元々知ってたし。白福さんが前主将の事好きなのも知ってたけど、白福さん、支えてくれる人がすぐ傍にいないとダメな人だから。だから、白福さんが卒業するまで俺が二番目の彼氏。」
「そんなの、酷いです。」
「いいんだよ、俺が望んだんだから。俺がそうして欲しいって頼んだんだから。」
赤葦さんの表情は少し寂しそうだった。
いくら赤葦さんがそれを望んだからと言っても、そんなの赤葦さんが可哀想だよ。白福さんも赤葦さんの気持ちを利用するなんて酷い。でも、どうしてだろう。そう思うのに、赤葦さんの気持ちが痛いほど分かる。
「赤葦さん、それなら私もそれ、やりたいです。私を赤葦さんの二番目の彼女にしてください。私、赤葦さんの事、ずっとずっと好きでした!」
そう言うと、赤葦さんは少し困ったような顔をした。
「白福さんは三年生で、赤葦さんを置いて卒業します!でも、私は赤葦さんを一人にはさせません!赤葦さんが卒業するまでで構いません!好きなんです!傍にいさせてください!」
「…うん、わかった。じゃあ、よろしく。」
私は自分が思っている以上に卑怯な女だった。赤葦さんの話を聞いた後に、自分にも同じ事をしたいと言えば、優しい赤葦さんは、自分がそうしてる手前断れないと分かっていた。
私は今日から白福さんを裏切ります。酷い女になります。悪いことだって分かってます。でも、そんな罪悪感とかそういうのなんて吹っ飛ばしてしまうくらい、赤葦さんに恋をしてます。
こうして、私の不毛な恋愛が始まった。
…ℯꫛᎴ