第7章 【切】それは不毛な恋でした/赤葦京治
インターハイ、惜しくも準優勝に終わり、春高予選に向け練習に励んでいた、六月の事。梅雨時期ということもあり、その日は、朝から天候が悪かった。その為、部活が何時もより早く終わった。いつもなら赤葦さんをスパイク練に付き合わせる木兎さんだが、その日は珍しく自主練習さをせずに帰って行った。聞いたところによると、ゲームの発売日ならしく、それを取りに行く為に急いで帰ったとの事だった。だから、赤葦さんも練習はせず、白福さんと一緒に帰るんだろうと思っていたのに、赤葦さんは体育館に残っていた。
「赤葦さん、帰らないんですか?」
「うん。」
「白福さんは?」
「さっき帰ったよ。」
折角白福さんと一緒に帰れるチャンスなのに勿体無い。白福さんも残ってるのが赤葦さんだけなら、一緒に残ればいいのに。別に部活の間は一緒にいられるから、帰る時まで一緒にいなくてもいいってことなのかな?
そういった経験のない私には、それがよく分からなかった。
「逢崎は帰らないの?」
「えっと、」
赤葦さんが残るなら、少しでも一緒にいたいし。ボール出しとか出来ることがあるなら手伝いたいし、練習を手伝うって事なら、別に赤葦さんと一緒にいても、それは悪い事じゃないよね?
「私で良かったらボール出しさせてください。」
そう言うと、赤葦さんは、助かるよ、ありがとうと言ってくれた。