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【WJ】短編

第39章 【甘】そのワンコ、野獣につき要注意/灰羽リエーフ


「リエーフ君、部活終わったー?帰ろう!」
「遥香さん!」


 私の姿を見かけるなり、見えない筈の尻尾を振って喜んで私の方にすっ飛んで来るリエーフ君。二m近い身長を持つ二つ年下のリエーフ君。めちゃくちゃ可愛い。


「俺、急いで着替えてきます!」
「うん、待ってるね。」


 部室に走って行くリエーフ君の背中を見送っていると、やっくんに声を掛けられた。


「おい、遥香。あんまリエーフ甘やかすなよ?」
「リエーフ君可愛いから甘やかしたくなっちゃう。」


 同じクラスのやっくんこと、夜久衛輔。三年間同じクラスで、小さい見た目に反して男前でサバサバとした性格で、やっくんとは気が合う。やっくんと仲がいいおかげでリエーフ君とも知り合えた。


「だってリエーフ君、次郎にそっくりなんだもん。」
「…それ、リエーフには言うなよ?次郎と似てるなんて言われたらいくら何でも傷つくだろうから。」


 次郎というのは私が可愛がっていた愛犬。去年、老衰により十五歳にしてこの世を去った。小さい頃からいつも一緒だった次郎。兄弟のいない一人っ子の私にとっては実の兄弟のような存在だった。だから次郎が死んだ時は、凄く悲しかった。でも、天の巡り合わせか、今年の春、音駒に入学して来たリエーフ君。何から何まで愛犬の次郎そっくりで、つい次郎と重ねてしまって、甘やかしてしまう。


「お待たせしました!帰りましょう!」
「やっくん、また明日ね。」
「気つけて帰れよ。」

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