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【WJ】短編

第37章 【切(R18)】今日も貴方を探す/赤司征十郎


 今日も大好きなあの人と同じ姿をした別人に私は抱かれる。


「遅かったね。」
「…すみません、準備に手間取ってしまって。」


 そう言って、部屋の鍵を閉めた。目の前にいるのは赤司家のご子息である赤司征十郎様。代々私の家系は赤司家の使用人として赤司家に仕えてきた。幼少期より歳の近かった征十郎様のお相手をさせていただいていた。年下ながらも、幼い頃より、周りを良く見て、気配り上手で優しくおおらかな性格で、使用人の一人に過ぎない私にも良くし下さっていた征十郎様に想いを寄せていた。身分違いの恋が報われる事なんてないと思っていたのに、ある日、ガラリと性格が変わってしまった征十郎様と思いがけない形で結ばれる事となってしまい、その関係は今でも継続している。
 見た目こそは征十郎様そのものなのに、性格の変わってしまった征十郎様は私が想いを寄せていた征十郎様とは別人。そんな私の気持ちを今の征十郎様に見透かされ、私は赤司家のメイドではなく、赤司征十郎の玩具となった。
 そして迎えた、征十郎様の十六の誕生日。その誕生日を祝う為に、征十郎様の部屋に持ち込んだ大量の生クリームとフルーツ。征十郎様に見られ乍、私は身に付けていた衣服を脱ぎ、生まれた時と同じ姿を征十郎様の前に晒した。大きなテーブルに持ち込んだクリームとフルーツを並べ、そのテーブルの上に上り、大事な部分をクリームで覆い、フルーツで飾り付ける。準備が整った所で、征十郎様に声を掛けた。


「坊ちゃん、お誕生日おめでとうございます。どうぞ、特製のバースデーケーキを御堪能下さい。」


 その私の言葉に満足したのか、笑みを浮かべる征十郎様。私が想いを寄せた征十郎様と同じ顔。でも、私の好きだった征十郎様はそんな風に笑わない。


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