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【WJ】短編

第36章 【切甘】居場所/白布賢二郎


「ちょっとウチの妹に何してんのさ!?」


 甲高い声が廊下に響いた。


「げ。」


 私達の間にズカズカと割って入ってきた徹。決勝見に来ないって言ってたくせに。後方には一君もいる。


「珍しく遥香が泣いてたから心配になって戻って来たら…!お兄ちゃんは彼氏とか認めないからね!」
「…ウザい。外で話し掛けてこないでよ。」
「そんなつれないところも可愛いね遥香は。」


 徹にそう言って頭を撫でられた。物凄く不愉快。撫でてきた手を叩いてやった。なのに照れてる遥香も可愛いとか言ってる。本当ウザい。てか、こんな所白布さんに見られたくなかったのに。


「…噂には聞いてたけど、想像以上だな。」
「え、何?白鳥沢で遥香俺の事話してくれてんの?お兄ちゃん感動。」
「する訳ないじゃん。名前を口にするだけでも忌々しい。」


 一君、早くこの五月蝿いの回収してくれ。


「遥香可愛いから白鳥沢で変な虫がつかないか心配だよ。」
「大丈夫ですよ。俺がいるんで。」


 そう言って白布さんは私の手を握ってくれた。それを見て声にならない悲鳴を上げる徹。それを見かねた一君の拳骨が徹の頭を直撃。年月を重ねる毎に一君の拳骨の威力が上がっていってる気がするのは多分気のせいじゃない。


「邪魔して悪かったな。コイツは責任持って連れて帰る。」
「出来たら連れて帰らず海にでも沈めて欲しいんだけど。」
「嗚呼、そうする。」
「ちょっと岩ちゃん!何物騒な事言ってんの!?」


 私の名前を叫び続ける徹はそのまま一君に連れて行かれた。


「それじゃあ俺等も行くか。」
「はい。」


 その日帰宅してから徹にしつこいくらい絡まれたのは言うまでもない。




                 …ℯꫛᎴ
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