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【WJ】短編

第36章 【切甘】居場所/白布賢二郎


 私と違って何でも出来る兄達が嫌いだ。いつも私は出来のいい兄達に比べられていた。それが不満だった。特に二つ年上の兄である徹は特に嫌いだ。バレーの有名選手である徹。同じくバレーをしていた私は及川の妹というレッテルを貼られ、いつも徹と比べられていた。

 及川は凄いけど及川妹は大したことないな。

 徹のプレーを知る観客から向けられた言葉。すみませんね、徹の妹なのにバレー上手くなくて。

 及川さんの妹って、何ていうか普通だね。

 徹のファンから向けられた言葉。すみませんね、徹の妹なのに美形じゃなくて。

 そんな風に言われ続けた私の性格はひん曲がってしまった。全部、全部徹のせい。なのに、徹は俺の妹は世界で一番可愛いなんて言う。こんなに徹の事が嫌いだと思っていて、言葉と態度でそれを示してるのに、何故か徹は私を可愛がる。それがまた気に食わなかった。だから、仕返しのつもりで徹の大嫌いなウシワカのいる白鳥沢へと入学した。幸いにも勉強は得意だった為、白鳥沢に合格する事が出来た。私が白鳥沢に合格したと知った時の徹の顔は傑作だった。でもそれだけで足りなかった私はバレーを辞めて男子バレー部のマネージャーになった。徹の幼馴染みであり、私の幼馴染みでもある一君と敵同士になってしまうのは少し悲しかったけど、その気持ち以上に徹が憎いという気持ちが勝っていた。

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