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【WJ】短編

第30章 【甘】言葉の真意/岩泉一


「気になるって…いうのは?」
「…悪い、ちょっとそれはまだ言えそうにねえ。まあ、そのうちちゃんと言うつもりだけど。」


 顔を赤くしてそう言ってくれた岩泉さんの言葉に変な期待を抱いてしまった。…まさかね。私、可愛い訳でもないし、スポーツが得意な訳でも勉強が出来るわけでもない。胸を張って自慢出来ることが何一つない私に岩泉さんが好意を抱いてくれてるんじゃないかと期待してしまった自分を殴ってやりたい。岩泉さんは皆に優しい。ただそれだけ。


「そんで、逢崎が当番の日、俺図書室で勉強するから、こうやって送って行ってもいいか?」
「…はい。」


 前言撤回。これは期待してしまってもいいのではないだろうか。岩泉さんの言葉にドキドキしながら帰る帰り道、心臓がいやってくらいうるさくて、この音が岩泉さんにも聞こえてしまうんじゃないかって思うと恥ずかしくて岩泉さんの顔を見ることが出来なかった。


「そんじゃあ、また木曜日な。」
「はい。ありがとうございました。」


 家の扉を開け、玄関に入るや否や、私はその場にしゃがみ込んだ。


「…どうしよう。」


 たった今別れたばかりなのに、木曜日が待ち遠しくてたまらない。
 さっきの岩泉さんの言葉の意味が私と同じ気持ちだったらと思うと、私はその場をまだ立ち上がれそうにない。



            …ℯꫛᎴ


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