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【WJ】短編

第27章 【切甘】ホンキ/照島遊児


「何?もしかして二人いい雰囲気?」
「違うから!」


 クラスメイトのその言葉を全力で否定すると、照島君も、別に挨拶しただけじゃん。そう言って、そのクラスメイトと共に元いた輪の中へ戻って行った。…そう、ただ挨拶しただけ。

 そして始まった授業、いつもなら何処かでサボってる筈の照島君。金曜日同様、サボる気配はなく、真面目に授業を受けている。高校生なのだから当たり前のことだし、授業を受けて当然なのだけど、いつも通りサボっていて欲しかった。金曜日の一件があって、同じ空間に照島君がいるということが恥ずかしくてたまらない。キスしたのは私と照島君しか知らない事実だし、クラスメイトがそれを知ってる訳じゃない。照島君がそれを誰かに口にしない限り、普段通り振舞っていたら大丈夫…照島君が口にしない限り。…照島君に口止めしなきゃいけない。照島君は見るからに口が軽そうだ。何かの拍子でそれが話題に出てしまえば、私は間違えなく照島君の取り巻きであるギャルから色々言われるだろう。それはどうにかして避けたい。チラリと横目で照島君の席の方へ視線を移すと、照島君と目が合った。そして、にっと、笑う照島君のその笑顔に心臓が跳ね上がった。心臓に悪いその笑顔に私はすぐさま目を逸らした。なんで照島君こっち見てるのよ…。

『俺、いつも遥香ちゃんの事こと見てるから』

 その言葉が頭に浮かんだ。嗚呼もう嫌だ…。私は頭を抱えた。





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