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【WJ】短編

第27章 【切甘】ホンキ/照島遊児


 〝住む世界が違う人〟

 それが彼に対する私の評価だった。刈り上げられたクリーム色の髪、舌についたピアス。髪も染めず、化粧もせず、真面目という言葉がピッタリの私にとって照島君はそうでしかなかった。でも、自分と全く異なる彼だからこそ、惹かれたのは事実であったが、その気持ちを告げた所で私が照島君の世界に入れる訳じゃないし、ましてや受け入れられる訳でもない。そう思っていたのに、突然照島君にキスをされた。しかも、思いっきり濃厚なやつ。しかも学校で。挙句、伝えるつもりのなかった気持ちまで伝えるハメになって、照島君も私と同じ気持ちだとは言ったけど、ハッキリとその気持ちを口にはしてくれなかったし、その後俺、部活あるから、なんて言って、放心状態に近い私を置いて部活に行ってしまった。果たして今私と照島君の関係は恋人同士なんでしょうか?好きだとは言ったけど、付き合うとかそういう話はしてないし、私はこれからどんな態度で照島君に接したらいいのか悩んでいた。そんな私の気持ちを無視し、無情にも二連休は終わり、月曜日が来てしまった。

 いつも通り学校へ行くと照島君はまだ来てないみたいで、少しホッとした。照島君はいつも時間にルーズで、遅刻ギリギリに登校、若しくは遅刻して学校にやってくる。その筈だったのに、


「はよーっす。」


 今日に限って照島君はHRが始まる遥か前に登校してきた。


「てるしー何?今日早いじゃん。」
「おう。」


 クラスの人気者である照島君は登校してくるなりクラスメイトに囲まれ、昨日のテレビがどうだったとか、そんな話をしていた。朝練があったのかな?なんて思いながら、視線を照島君の方へ向けないよう、その会話に耳だけ傾けていた。


「遥香ちゃん、おはよう。」
「…おはよう。」


 いつも話し掛けてなんかこないくせに、わざわざ友達の輪から抜け、それだけ言いに来た照島君。またあの時と同じくニヤリと笑った。

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