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【WJ】短編

第24章 【甘】初恋リスタート/二口堅治


「お待たせしました。」


 そう言って運ばれてきた料理。店員と目が合った。


「あれ?堅治じゃん。」
「逢崎さん何やってんすか?」
「え?バイト。」


 料理を運んできたのは、中学の時バレー部のマネージャーだった逢崎さんだった。とは言っても、二つ年上の彼女、一緒に部活をしたのは半年程度。そんな俺を覚えてくれていた事が少し、いや、かなり嬉しかった。なんせ彼女は俺の初恋の人だから。けど、中一の時はまだ携帯も持ってなくて、卒業してから連絡をとる術もなく、疎遠になっていた為、思いもよらない再会に俺は心の中で喜んだ。


「え?何、二口知り合い?」
「あー、中学の時のバレー部のマネージャーの逢崎さんです。で、この人達が部活の先輩で、隣に座ってんのが、今のチームメイト。」
「堅治、生意気じゃない?コイツ口悪いから大変でしょ?すぐ喧嘩売るし。」


 そう言って俺の隣に座る逢崎さん。…仕事中じゃねえのかよ。なんて思ったが、肩の触れ合う距離にいれることが嬉しかった。そして自分で運んできた料理、ナイフとフォークを手に取り、俺の目の前に並べられたプレートからハンバーグを切ってそれを食べた。


「ちょっと逢崎さん、仕事中じゃないんすか?」
「ハンバーグ味見しただけじゃん。そんな怒んないでよ。」


 そう言って今度はフォークで刺したハンバーグを半ば強引に俺の口には突っ込んだ。熱いっつーの!目の前にあったドリンクをぐっと飲み干したが、舌がヒリヒリする。


「部活終わった後に皆でごはんなんて仲いいね。」
「いや、俺達はもう就活あるんで部活は引退してて、今日は二口の誕生日なんで、そのお祝いに。」
「あ、そっかー!堅治今日誕生日だったね。おめでとう。」
「…どうも。」


 まさか逢崎さんの口からお祝いの言葉が貰えるとは思ってもなくて、これまた心の中で静かに喜んだ。



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