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【WJ】短編

第24章 【甘】初恋リスタート/二口堅治


 十一月十日。部活が終わってから引退した茂庭さん達が俺の誕生日を祝ってくれるということで青根と共にやって来た近所のファミレス。既に茂谷さん達は到着しており、席には履歴書や、企業の求人情報の書かれた紙が散乱していた。それを見て、改めてこの人達との一年の年の差を思い知らされた気がした。


「鎌先さん、ホントに就職出来るんスか?筋肉だけじゃ仕事就けないっスよ?」
「んだと二口コノヤロー!」
「お前らやめろよこんな所で!」


 俺の誕生日を祝ってくれると言って集まったのに、俺に掴みかかってくる鎌先さん。本当に祝う気があるのだろうか。なんて思ってはみたものの、部活を引退し、就活で忙しい中、わざわざ誕生日を祝ってくれると言ってくれた先輩達の心遣いは正直嬉しかったし、またこうやってこのメンバーで集まれるのを楽しみにしていた。まあ、そんな事絶対口にはしないけど。


「今日は俺らの奢りだから好きなモン食えよ、二口。」
「マジっすか?練習終わったばっかで腹減ってんで、遠慮なく頼んじゃいますよ?」


 メニューに目を通し、注文するものを決め、ベルを押した。


「ご注文お決まりですか?」


 やって来た店員にここからここまで全部と言うと、ちっとは遠慮しろ!と鎌先さんに怒られた。


「───っていうのは冗談で、これと、これとこれ。あとドリンクバー二つ追加で。」


 注文を終えメニューを閉じた。


「今日は鎌ちのお気に入りの子いないな。」
「うおい!馬鹿笹谷!」
「え、なんすかその面白そうな話?」
「それがさ、ここのバイトの子で超可愛い子がいんだけどさ、その子に鎌ち夢中でさ、最近何かと理由つけてここ来てるからな。」
「へえ~。」


 あの鎌先さんがねー。そんな意味も込めて鎌先さんを見るとそんな目で見てんじゃねえぞ二口!と怒鳴られた。ここ、店内だって分かってんのかこの人。鎌先さんが声を荒らげる度に、他の客からの視線が痛かった。

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