第23章 【切甘(R18)】閉じ込めた恋心/及川徹
そして、ドタバタと誰かの足音が近付いてくるのが分かった。
「逢崎先生!」
その声と共に保健室の扉が開いた。
「き、金田一…!」
カーテンから顔だけを覗かせる及川君。私はその隙に慌てて乱れた服を整える。
「及川さん、何してるんですか?あれ?逢崎先生知りません?」
「遥香ちゃん先生なら御手洗に行くって言ってたよ。金田一はどうしたの?」
「クラスの奴が倒れたので、動かしていいのかわかんなかったので逢崎先生呼びに来たんですけど。」
「俺が伝えとくから!」
「?…それじゃあ、お願いします。第一体育館です。」
そう言って金田一君は保健室を出て行った。
「はー…。超ビビった。」
「及川君、それじゃあ私外に行ってくるね。」
及川君が金田一君と話しているうちに身支度を整えた私は、そう言って保健室を離れようとすると、及川君に引き止められた。
「何?私、急がな──」
私の言葉は及川君のキスによって塞がれた。
「遥香ちゃん先生、俺卒業したら真っ先に遥香ちゃん先生の事貰いに来るから、だからそれまで余所見しちゃダメだよ?」
「…うん。」
アイドル顔負けの眩しいその笑顔にまた私はクラクラした。…嗚呼、これから女生徒達の恋愛相談なんか乗れそうにもないな。なんて思いながら第一体育館へと走った。
…ℯꫛᎴ