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【WJ】短編

第22章 【甘】私だけの秘密/岩泉一


「彼女の余裕ってやつだね。」
「何それ。」
「別に、ただの独り言。」


 そう言って私の隣で笑みを浮かべる松川。


「まあ、及川も本当は分かってるから。」
「うん、知ってる。」


 女の子なんだから、こうやって皆がいる前でも特別扱いされたいんじゃないか、なんて思ってる及川。だから、及川がこうやって私にちょっかいを出すことで、岩ちゃんがそうなるんじゃないかって思ってしてくれてる。────確かに、皆の前で特別扱いされるのは少し憧れちゃう。


「でも及川って本当馬鹿だよね。一の性格、一番理解してんだろうに。」
「前はそうだったかもしんないけど、今は二番なんじゃない?」
「そうだね。」


 私は、溢れる笑みを抑えながら、未だコート内で喧嘩をする二人の元へ走った。


「ほら!主将と副主将がそんなんじゃ下に示しがつかないでしょ?」
「だって、岩ちゃんが~。」
「そんな甘ったるい声出すんじゃねえ!気持ち悪いんだろうがボケ!」
「ほら!また殴った!」


 確かに、特別扱い憧れちゃうけど、私は今のままでいいと思ってる。幼馴染みの及川でさえ知らない、一の甘えん坊な一面。二人の時に囁いてくれる愛の言葉。私だけの秘密。



              …ℯꫛᎴ



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