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【WJ】短編

第22章 【甘】私だけの秘密/岩泉一


「皆お疲れ様。」


 練習に一息ついて、休憩中、皆にスクイズを渡して行く。青葉城西高校、通称青城。バレーの強豪校といわれるだけあって、兎に角部員が多い。それをマネージャーである私一人で雑務をこなしてる訳だが、これが結構忙しい。毎日汗水垂らして練習に一生懸命な皆と比べれば、なんてことないけど、結構体力使うし、力仕事も多い。


「はい、及川。」
「遥香ちゃん、ありがとう。お礼にぎゅうってしてあげるね。」
「いや無理。」


 両手を広げ、俺の胸に飛び込んでおいでと言わんばかりの及川を無視して、順番に皆にスクイズを渡して行く。その後ろで騒ぐ及川はやっぱり無視。


「はい、一。」
「おう。」


 一にスクイズを渡すと、それをサッと受け取り、ぐっと中身を飲み込んだ。ゴクゴクと音をたてて飲むその喉になんだか目が離せなかった。なんだ?と尋ねる一に別に、と答えるとさっきまで後ろで騒いでた及川が私の肩に手をまわしてきたからその手を思いっきり抓ってやれば、大袈裟に痛いだなんだと再び騒ぎ出す。


「ちょっと岩ちゃん。可愛い彼女が折角スクイズ渡してくれたんだから、なんかこう、もっとあるでしょ?」
「あ?」
「いつもありがとうとか、可愛い遥香ちゃんの顔を見ると元気が出るよ、とかさあ。岩ちゃん遥香ちゃんに冷た過ぎるんじゃない?」


 まあ、確かに部活中…というかクラスでもだけど、一はいつも淡白。別に気にしちゃいないけど。


「遥香ちゃんもそう思うでしょ?」
「別に。」
「遥香ちゃんまでそんな事言って!及川さんだったら遥香ちゃんの事うんと甘やかしちゃうのに!」
「一々うるせえぞ及川!」
「今時亭主関白なんて流行んないんだからね!」


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