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【WJ】短編

第16章 【甘】心から愛してくれる人/相澤消太


 私を心の底から愛してくれる人と私は巡り会う事が出来るのか。いつからかそんな風に思うようになった。個性の影響で、私は皆から愛されて育った。でも、それは私の個性によって変えられた偽りの気持ち。個性なしで、私の事を本当の本気で愛してくれる人と恋をしたい。けど、それは多分一生叶わない。お母さんもお婆ちゃんもそうだったように、きっと私が辿る未来は同じ。そう思っていたのに。出会ってしまった────運命の人に。

 雄英高校に入学し、最初の授業。個性把握テスト。私の個性は主に対人用だと思っていたけど、そうでないことに気付いたのは中学二年生の時。〝物〟に対しても有効であった。なんでも物体というものは付喪神が存在し、その神に口付けをする事で、その個体に愛される。つまり物体そのものの力を100%発揮できる。個性だけ聞けば不利であるような50m走、靴にキスをすれば靴から愛される。握力もそう。測定器に口付けをすれば、対して力を込めてもいないのに数値は測定不能を示す。立ち幅跳び、反復横飛び、ボール投げ、付喪神に愛されてる状態の私はそれに特化した個性の持ち主には勝てないものの、どれも良い成績を残した。
 そして、私とは真逆。どれを取っても秀でた成績を残せていない緑谷君。ボール投げ、あの入試で見せた馬鹿力を出そうとしたであろうとした時、投げたボールは普通に飛んで行った。


「な…今確かに使おうって…。」
「〝個性〟を消した。
つくづくあの入試は…合理性に、欠くよ。おまえのような奴も入学出来てしまう。」
「消した…!!あのゴーグル…そうか……!抹消ヒーロー、イレイザー・ヘッド!!!」


 視ただけで人の〝個性〟を抹消する〝個性〟、そんな個性が存在するなんて…!その話を聞いた時、この人となら、本当の恋が出来るんじゃないか、そう思った。


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