第2章 時の記念日
「ああ、気がつかれましたか」
「せん、せい……」
彩菜は小さく呟いた
何故なら、そこには今は亡き、恩師。吉田松陽が、目の前にいたのだ
彼の周りには、先程の女の子も含め、4人の子供がいる
「お姉ちゃん、どうしたの?」
女の子が不思議そうな顔して、此方を見る
「えっと……、此処は……」
「此処は、早い話寺子屋です。申し遅れました。私、この寺子屋で先生をしています。
吉田松陽です。ほら、あなた達もご挨拶なさい」
松陽はそう伝えると、周りにいた子供達は、様々な顔した
まず、真面目に「はい」と答える黒髪にポニーテールの男の子
「初めまして、桂小太郎と言います」
そして、次に答えたのは、先程の女の子
「私、彩菜。高杉彩菜だよ。お姉ちゃん!」
ああ、やっぱりそうだ
彩菜はそう確信した
此処は、紛れもなく
"過去の、まだ汚れを知らない一番純粋だった頃の自分とその世界"
だと言う事に