第4章 Knockin' on Heaven's Door
「性行為って男と女がするんでしょ?」
『そうです。それが繁殖に繋がります』
あの人はおじさんだった…
そして僕は男…
「男同士で性行為をするのはなぜ…?」
『好きだからです』
「初めて会っても…?」
『快楽を追求するため同性で性行為に及ぶことがあります』
「かいらく…?」
『気持ちが良いということです』
僕は…気持ちよくなるためのおもちゃ…
人間じゃないんだ
僕は人間じゃないんだ
「あああ…あああ…」
『N1N0どうしました?』
「いやああああ…僕はなに?僕はなんなの!?」
『N1N0!』
サーティーンが暴れる僕を抑える。
「いやだ…いやっ…」
部屋にブザーが鳴り響く。
僕が熱を出すといつもなる警報。
「痛いっ…」
痛いというとサーティーンは手を離すようプログラムされてる。
リビングに駆け込んで、扉の前で僕はしゃがんだ。
『ニノ!?どうした!?』
ガラスの向こうからドクターの声がする。
サーティーンがリビングに入ってきて僕のほうに歩いてくる。
「止まれ」
そう言うとサーティーンは動きを止めた。
なんとなく…悲しそうな顔をしたように見えた。
その時、リビングとガラスの向こうを繋げる扉が開いた。
ドクターが慌てて駆け込んでくる。
僕はそのドアから走り出た。
「ニノっ!」
ドクターの声が聞こえたけど、構わず走った。
僕は知ってるんだ。
あの扉を開けたら、外に出る階段がある。
外に出た時、そこから人が出入りするのをみたんだ。
後ろから追ってくる足音。
それを聞きながら、僕は階段のドアを開けた。
冷たい風が吹き付ける。
僕は一歩足を踏み出した。
階段を降りないで、手すりを掴んだ。
頭のなかに、曲が流れてくる。
ああ…あれは…
百年以上前の曲…
歴史の映像学習で見た…
ヘブンズドア…
天国の扉…
”Knock, knock, knockin' on heaven's door…”
人間じゃない僕にも…天国があるんだろうか…
【Knockin' on Heaven's Door END】