第19章 The branched story1
それから、順調にエリアBはC地区の体制を固めていった。
智の言った一言で、驚くほどエリアBの流れは良くなっていった。
やっぱり、一番大変なC地区から手を入れていったのが良かったんだと思う。
智は…
あれから、どんどん自信をつけたと僕は思ってる。
見違えるようにとはいかなかったけど、智自身が積極的にエリアBの文化面を充実させようとしていった。
歌や絵、アートでみんなのこころを癒やすって。
僕もできるだけ力を貸したけど、智の頑張りは本当にすごくて。
今じゃ、エリアBを代表するアーティストって呼ばれて、日本国や世界中の注目を集めてる。
その活躍を、智の家族は日本国から見守ってたみたくて…
ある日、智に手紙が届いた。
智は字が読めない障害だけど、その手紙は智にもわかるようにひらがながいっぱい書いてある手紙だった。
つっかえつっかえだったけど、智はその手紙を僕に読んでくれたよ。
手紙を読み終えた智は、いつまでもいつまでもその手紙を抱きしめるように胸に抱えてた。
僕はその嬉しそうな横顔を見つめながら、絶対に日本国を一つにしようって…
智や雅紀の家族と、絶対に堂々と会わせて上げるんだって…
改めて決心したんだ。
それが現実のものとなるのは、数年後のことになる。
【The branched story1 END】