第3章 エニグマ
ニノちゃんが倒れたあと、慌てて翔に連絡の通信を打った。
まだ、潤も智も寝ている時間だ。
俺の判断でそうした。
通信室から戻ると、ベッドに寝かせたニノちゃんの顔を覗きこむ。
苦悶に満ちた顔をしていた。
翔から、今晩行けたら行くとすぐに返事が来た。
よかった…すぐに連絡がついて。
ニノちゃんの手を握って、ずっと目がさめるのを待った。
でも…ニノちゃんは目を覚まさない。
時々魘されて、びっしょり汗をかいている。
潤と智が起きてきて、一緒にニノちゃんをただ見てるしかなかった。
頭が痛そうだから、下手に動かせないと潤が言ったからだ。
夜になって翔が忍び込んでくる時間になっても、ニノちゃんは目を覚まさなかった。
「どうしよう…潤…」
「見てるしかない…とりあえず、俺は翔を迎えに行ってくるから…」
「わかった。お願いね…」
「うん」
潤は俺の髪をくしゃっと撫でると、部屋を出て行った。
智が着替えを持ってきてくれた。
「翔の診察が終わったら、このパジャマに着替えさせてあげて?」
智のほうがニノちゃんとサイズが近いから助かった。
「わかった…智…?」
「ん?」
「俺…昨日、なにもできなかったんだ…」
「へ?」
「抱いていれば…こんなことにならなかったのかな…」