第18章 The beginning of the story8
「なんにも心配しないでいいよ…たくさん眠りな…後で夕飯持ってくるから。ちょっとね、熱出てるから…」
ああ、そっか…
だからこんなにだるいんだ…
「雅紀…」
「うん?」
「俺、雅紀のこと好きだ」
「翔…」
「智も…潤も…だいすき…」
「…うん…ありがとうね…俺も好きだよ…」
また頬にキスが降ってきた。
「明日、智にも言ってやってね」
「うん…たくさん言う…」
たくさん…たくさん言うよ…
だって、俺たち家族だもん
家族に、なったんだもん…
雅紀の手が俺の頭を撫でてくれる。
「ああ…しあわせだなぁ…」
雅紀の温かい手が、俺の頬を包んだ。
「さあ、眠っちゃいな…起きたら、元気になってるからね…」
「うん…」
気持ちいい眠りに引きずりこまれるように落ちた。
こんなに安心して…
こんなに気持ちよく眠れるんだって、初めて知った。
そして、俺が人を愛おしいと思えることも。
まだ言えないことはたくさんあるけど…
俺は、この人達のためにA地区で生きることに決めた。
今まで、生きるために生きてきたんだ。
でも初めて、人生の目標ができた。
俺は俺のできる形で、この人達を愛し、守るんだ。
それには、俺はA地区で暮らすことが一番いい。
そして政府の諜報員という立場を利用して、この人達が快適に暮らしていけるよう、全ての力を注ごう。
この人達に…俺の人生捧げよう…
俺の、大事な家族のために…
この日から、俺はこの人達と共に生きてる
【The beginning of the story8 END】