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SHELTER【気象系BL小説】

第14章 The beginning of the story4


「風呂…入りてぇな…」
「うん…」
「今度、外に露天風呂でも作る?」
「智…何いってんの…」
「だって、ドラム缶のお風呂じゃ足のばせないじゃん?」

そう言うと、智はくすくす笑って潤に毛布を掛けた。

「どうやって作るんだよ…」
「河原から石たーくさん持ってくればいいよ」
「ばーか…お湯、どこで沸かすんだよ…」

力なく潤が笑う。

「夢みてーな話…」
「ふふ…いつか、作れたらいいね…」
「そうだね…いつか…」

いつか、三人で…

「翔も入りにおいでよ!」
「え…?」

智がにこにこしながら翔に顔を向けた。

「滅多にできないよ!B地区で露天風呂!」
「え…?あ…?」
「できたら入りにおいでよ!」
「ばか…智…」

潤が智を抱き寄せた。

「ええっ!?俺、ばか!?」
「A地区からそんな頻繁に来られるかよ…」
「ええ~…だって夢はでっかいほうがいいじゃん」
「おまえは…」

ポンポンと智の頭を撫でると、潤は微笑んだ。

「翔にはもっと違う…大きな夢が見られるんだから…」
「…そっか…」
「来るよ」
「え?」
「俺、来るよ…露天風呂、入りに来る」
「翔…」

翔が突然そんなこと言い出すから、皆びっくりした。

「俺も、一緒に夢…見たい」

翔は潤をまっすぐに見た。

「…これからも、ここに来てもいい…?」

躊躇いながら、俺たちに近づいてくる。

「迷惑じゃ…なければ…」




翔が、一体なにを思ってそんなこと言ったのかはわからない。

わからないけど、その言葉通りに翔はそれからも頻繁にB地区に忍び込んできた。

だいぶ危険なことをしているから、俺たちは止めたんだけど、どうやら翔は医者をやっているから、防衛省にコネをもっているらしく潜入はそんなに難しくないんだとか。

相変わらず潤は何も言わないし、”しょうこ”という人のことは聞くことはなかった。




その話を聞くことになるのは、翔と出会って一年後のことになる。




【The beginning of the story4 END】
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