第12章 The beginning of the story3
休日は俺が付き添った。
おばさんは家の家事をしてくると言って昨日から横浜に帰っていた。
ぼんやりとベッドに横になる翔子は、なんだか顔色も良くなくて。
「翔子?どうした?」
「ううん…」
そう言って微笑むけど、明らかに元気がなくて…
「なんだよ?どっか痛いのか?」
「違うよ…」
細い手首が、また細くなった気がする。
ちゃんと食べてるのか?
ぎゅっと手を握ってやった。
翔子はちょっと安心したように息を吐いた。
「なんか、不安とかあるなら言ってくれよ…俺、男だしわからないことだらけだし…言ってくれないとわからない」
「うん…」
翔子の瞳は不安でいつも揺れていた。
ご両親が亡くなる前はいつも屈託なく笑っていたのに。
「…おばさんに頼ってばかりで…情けない…」
「翔子?」
「親が生きてたら…こんなに頼ることもなかったのに…」
「何言ってんだよ…今は仕方ないだろう?」
「子供が生まれてしまったら、公的サービスを使えるけど…入院の付き添いなんて、公的サービスないもんね…」
「おい…何言ってんだよ?翔子」
「どうして…自分たちだけで生きていけないんだろ…」
「いいかげんにしろよ!」
「…っ…なんで私はっ…こんなに身体が弱いんだろうっ…」