第10章 The beginning of the story1
「ん…?」
なんかもぞもぞする…
半分寝ぼけながら、もぞもぞに手を伸ばしてみる。
「あえ?」
人だ。
「あ、ごめん潤…起こした?」
翔がベッドに入ってきてた。
「どうしたの…?こんな朝早く…」
「会いたかったから…起きてから来ようと思ったんだけど…来ちゃった」
”来ちゃった”じゃねえよ…かわいいな…
ぐいっと腕を引っ張って抱きしめた。
「わ!潤っ…」
「いつこっちに来たの?」
「ん…昨日暗くなってから…シュウのとこに行ってた」
「なんだ…電信打ってくれれば迎えに行ったのに…」
「だって急に時間できたんだもん」
翔の背中を撫でながら、その体温を感じる。
シャンプーがいつもと違う香りだ。
夜勤だったのかな…?
朝日がカーテンの隙間から部屋に入ってきてる。
目を閉じても、もう眠りは来そうになかった。
「雅紀と智は?」
「元気だよ。翔に会いたがってた」
「そっか…」
こういう時の翔は、ちょっと嬉しそうで。
あんまり身の上話はしないけど、家族に恵まれていなかったのかなって思ったりする。
「翔は?」
「え?」
「俺達に会いたくなかったの…?」
「…会いたかったよ…?」
「ふふ…いい子だね…」