第9章 HEAVEN
いつまでたっても注文を言わないから、全員ジンライムにしてやった。
「ええ…これ、キツイよお…」
「砂糖つけてやったから、我慢しろ」
ニノのだけ、グラスの淵に砂糖をつけてやった。
「こ、子供じゃないんだからっ」
「はいはい。お前は大人だな」
「もうっ…仕返しかよっ」
潤がさっとグラスを額の高さまで上げた。
「乾杯」
皆目を合わせると、口々に”乾杯”と言って飲み干した。
「祝杯だね」
ニノが嬉しそうに笑う。
「だな。ほんと皆、お疲れ様」
智が小さい声で言う。
皆、智の気持ちがわかってるから、ひとりずつどついておいた。
「なっ…なにすんだよおおっ」
「智いつも美味しい野菜ありがとな」
「いっつも智の歌に救われてるよ」
「智の絵、部屋に飾ってから金運がいい」
翔の言ってることはちょっとよくわからなかったけど…
それでも智には伝わったみたい。
ちょっと泣きそうな顔してた。
「し、知らないっ。そんくらい、当然のことじゃん…」
「俺達じゃできないことだよ?」
「そんなことないよ…」
「智は、一人しかいないんだから」
ニノがにっこり笑って言うと、智は赤くなった。
「し、知ってるよ!そんなの…」