第1章 Area B
気がついたら、ベッドに寝ていた。
もう夜が来ている。
周りを見渡すと、知らない場所。
ベッドの横には木枠の窓がある。
薄いレースのカーテンが掛かっている。
室内には電気はついていない。
ふと、懐かしい感覚に陥った。
ベッドを見ると、学校の保健室にあるようなベッドだった。
懐かしさの正体に思い当たって周りを見れば、そこは学校の保健室のようだった。
木造のとても古い造りだ。
ガラガラと戸の開く音がして、明かりがつけられた。
眩しさに目がくらんだ。
「起きたのか」
じゃらりと腕に何重にもつけられた金属製の腕輪が鳴った。
髪をかきあげると、うっすら笑みを浮かべた。
身体にフィットしてる半袖のTシャツを着て、ピチピチの黒の革パンを履いている。
ハードな白の革靴を鳴らして、男は俺に近づいてきた。
「おまえバイクでコケたの。覚えてる?」
「え…」
全く覚えていない。
「なにヘンな顔してんだよ」
「俺…バイク…?」
「え…?覚えてないのかよ?」
男は傍らの机に置いてあった革ジャンを見せた。
「ほら、おまえが着てたの」
ざっくりと側面が削がれていた。
「これ着てなかったら大怪我だったな」