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SHELTER【気象系BL小説】

第2章 Club lunar maria


木張りの廊下はキシキシと音がする。
磨かれてツルツルの表面は、それがどれだけの年を経てきたのか物語っていた。

廊下の突き当りを左に曲がって、更に奥。
だだっ広い教室に出た。

「ここは…?」
「ここがクラブだよ。lunar mariaっていうんだ」
「どういう意味?」
「”月の海”って意味だよ」
「へえ…」
「ここから見える綺麗なものって限られてるんだ。月とか星とか夕焼けとか…」
「そうなの?」

雅紀は少し寂しそうに笑うと、教室の入り口を見つめた。

「月には…海があるんだって…水のない海が…」

遠い目をしている。

「実態のない海…まるで俺たちだよね…」
「え?」
「確かにここに居るのに、居ない存在だもの」

なんとなく、言ってることがわかった気がした。

「雅紀は…綺麗だよ…?」
「えっ?」
「とっても綺麗な人だと思う」

じっと雅紀を見上げたら、真っ赤になった。

「な、何言ってんだよ。いろいろ勘違いするからやめなさい」
「え?」

いろいろ勘違いってなんだろ?

「さ、行くよ」

開いたままの入り口から、雅紀は中に入っていった。

「潤、智。ニノちゃん連れてきたよ」

奥のほうで机とテーブルを拭いている潤と智が振り返った。

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