第8章 ユメノドリーム
”僕たち…ひとつになったよ”
ニノは…カズは…
「雅紀っ…開けろっ…」
天井の出入り口を激しく叩く音がする。
慌てて服を引っ掛けて開けると、智が顔を覗かせた。
「手を貸せっ怪我人がいる…」
殺気立ってる智は、そのまま上のはしごを登っていった。
「わかった、今行くっ…」
備蓄してた医療品の入った袋を掴んでベッドを見ると、ニノは体を起こしてこちらをみていた。
「僕も行く」
「え?」
「これでも一応、医学部生なんだ」
「え?どういう…」
「ラボで通信講義受けてたんだ。だから役に立つと思う」
そう言って穴蔵に溜めてあった服の中から動きやすそうなものを選んで着込んだ。
「行こう、雅紀」
「ニノ…」
ニノはふっと笑うとはしごを登りだした。
「今は、ショック受けてる暇、ないんじゃない?雅紀」
「え…」
「先、行くね」
ふわりと身体を踊らせて穴蔵の外に出ていった。
ひとつになったと言った…
ニノとカズが…ひとつになったってこと…?
外で男の叫び声が遠くから聞こえた。
そこで我に返って、俺も外に飛び出していった。
教室を出るともう朝が近い。
廊下を玄関方向に走っていく。
だんだん物音が大きくなってくる。