第7章 Fuse
目が覚めたら、腕の中の和也が身じろぎした。
少し暑いのかな…
身体が汗ばんでる。
すこし腕を緩めて、顔を覗き込む。
目が合った。
じっと俺の顔を和也は見上げていた。
「和也…どうしたの?」
「ううん…」
にっこりと微笑んだその顔は、ニノだった。
「あれ…?ニノ…?」
「ううん…」
「え?和也なの?」
「ううん…」
クスクスと俺の腕の中で小さく笑う顔は、目は…
ニノでも和也でもなかった。
「誰…?」
いたずらっこみたいな顔をして、また笑う。
「雅紀…」
「うん…?」
「キス、して…?」
「え…?」
やっぱり和也なの…?
言われるままその薄い唇に口付けた。
「あったかい…」
俺の胸板に額をこすりつけると、満足そうに笑った。
俺の身体に腕を回してぎゅううっと抱きつくと、そのまま和也は動かない。
「どうしたの…?」
「うん…」
和也は俺を見上げた。
その瞳は透明で…どこか遠くを見ているようだった。
「雅紀…?」
「うん…」
「愛してるよ…」
「和也…」
だんだん、不安になった。
これは、和也なの?ニノなの?
「ねえ…和也…」
「雅紀…ね…」
「なに…?」
ふふっと微笑んだ。
「僕たち…ひとつになったよ」
【Fuse END】