第7章 Fuse
じゅんに抱えられて校舎に走り込んだ。
真っ暗な中、じゅんの夜目はよく利くようで迷うことなく走ってる。
僕は腕の中でただ息を潜めていた。
黙ってろって言ったじゅんの声が真剣だったから。
「潤っ!こっち!」
前方からまさきの声が聞こえてきた。
「雅紀!ニノを連れて地下へ行け!」
「わかった!」
「俺と智は、外へ出る」
じゅんは僕をまさきに預けると、一つ息を吐いた。
「ニノ…雅紀と一緒なら大丈夫だから…安心してろ」
「うん…」
そっと僕の髪をじゅんの手が撫でていった。
「潤っ、とりあえず行ける」
暗闇からさとしの声も聞こえてきた。
「さとし…」
「ん?ニノ…こわい?」
温かい手が僕の頬を包んだ。
「うん…何が起こってるの…?」
「ああ…そうか…」
言いにくそうに黙ってしまった。
「智、行くぞ」
「…ニノ、また後でね」
「うん…」
頬から温かい手が離れていく。
何が起こってるの…?
怖いよ…
闇は…怖い…
「ニノ…歩ける…?」
まさきの声が聞こえる。
でも真っ暗闇で…
僕はなにも見えない。
「こわい…」
「そっか…じゃあ、おんぶしてあげる」
まさきの手が僕の身体を導いて、僕は背中に乗せられた。