第1章 カゲロウデイズ
スバル「っ・・・ぉ、い・・・ゆめ・・・っ?
・・・っくそ・・・、んだよこれ・・・・・・!!」
信じられないような信じたくないような表情を浮かべてるスバルの声が近くで聞こえる。
どうしたの、スバル。
・・・あれ、喋ったつもりなのに肝心な声が出ないや。
大丈夫。
私は平気だよ。
その二つが言葉に出来ない。
言葉の代わりに出るのはヒュゥヒュゥって空気の抜けるような、私の呼吸音。
いつもの綺麗な、白くて銀色のスバルの髪まで真っ赤っか。
血飛沫のアカと、スバルの柔らかい香りが混ざってく。
噎せ返るくらいの感覚。
スバル「・・・・・・ぃ、───・・・救急─・・・・・・!!」
ぶっきらぼうだけど優しいスバルの声も、どんどん遠くなっていく。
・・・あ、そっか。
私・・・スバルを守れたんだね。
カラフルだった景色が真っ赤に。
真っ赤だった風景がモノクロに。
段々と色の認識とかがつかなくなってきた頃、嘘みたいに嗤ってる陽炎がそこに居た。
「嘘じゃねえよ」
そうスバルに言う、スバルとそっくりな黒い陽炎。
それと同時に見えるのは私とそっくりな白い陽炎。
黒い陽炎とは真逆の、文句あり気な表情。
なんでお前が。
なんで。
お前が。
そうだね、なんでだろうね。
なんで・・・こんな・・・。
・・・・・・あー。
夏、そんなに嫌いじゃなかったのに。
こんなに嫌いになっちゃったじゃん。
いつもみたいな夏の水色も。
それを掻き回すような蝉の音も。
全部全部、眩んじゃうんだもん。
∞月15日 → ・・・?