第1章 カゲロウデイズ
スバル「・・・っぜえな・・・この人数にこの暑さ」
『はい出ましたボッチの方がいい発言〜。
でもまあ、今回ばっかりはそう思える猛暑日だよね』
スバル「同感すんのかナメてんのかどっちだっつの・・・」
『ハーフハーフで』
スバル「・・・・・・ちっ、こう暑くなきゃぶん殴ってやりてえ・・・」
『えー、暴力反対』
他の誰でもないスバルと何気ないこう言う会話をしてる時が1番心が落ち着く。
ふと、今の今まで腕の中で大人しくしてた黒猫。
横断歩道の一歩手前で、不意に身じろいだ。
ぴょんって飛び降りて、黒猫はまっすぐに道路へ駆けていく。
まるで何かから逃げ出すみたいに。
『、あ・・・』
咄嗟に黒猫の後を追い駈ける。
あ。
歩行者信号、赤になってる。
スバル「・・・っゆめ!!!」
あれ、どうしたのスバル。
そんな大きな声出したりして。
──ドンッ
無機質極まりない、やけにリアルな重低音が遠くで聞こえた気がした。
・・・いや、違う。
違うよ。
これは、遠くから聞こえたんじゃない。
キキィィィイイイイイィイイイィィイイイイイッッッ!!!!!
凄い、大きな。音。
誰かが泣き叫んでるみたいだ。
凄く、大きい。衝撃。
何かに轢き摺られてる感じがする。
視界が一気に真っ赤になった。
空も。
建物も。
全部。
全部。
清々しいくらいに、深紅。
ペンキを缶ごとひっくり返したみたいに、赤一色。
視界の片隅に電柱にぶつかっちゃってるトラックが見えた。
嗚呼、なるほど。
私は今しがたあのトラックに轢かれたのか。
だからこんなに身体が痛いんだね。