【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第4章 僕に兄など、おりません
「っぁ…おそ松!?」
暗闇で見たおそ松は、酷い姿だった。
服は焼け焦げ、口からは血を吐き、羽はもげかけ、熱もある。
まるでかまどで焼かれたトマトみたいに。
でも、意識があるようで荒い呼吸をしていた。僕はすぐさまおそ松の側へ駆け寄った。
「おそ松ッ!?おそ松!!」
「…いち…ま、つ…?」
声まで焼けていたようだった。おそ松じゃない誰かの声のようで、重傷だった。
まずは固い地面に寝かせるのは痛いはずだから、とりあえず僕の膝におそ松の頭を寝かせてみた。
正直、膝枕は気が引けるけど今は緊急事態だ。
熱がある場合の緊急時、火傷を負った場合は────
───分からない。
どうしよう。
おそ松がこんなに苦しんでいるのに何をすればいいか分からない。
だってここは、薬も水も愚か、暗闇しかないのだもの。