【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第1章 出来損ないの、シスターさん
「あんな人間…?」
『そ、あのクソ神父は一松を苦しめてるだけの最低な人間なんだ。俺よりアイツの方が悪魔だよ、それに……』
「やめろっ!!!!」
悪魔の声を遮るかのようにその場から離れた。
おかげで悪魔も俺から離れる。
「カラ松神父はっ…小さかった俺に兄のように接してくれた…ひとりぼっちだった俺に唯一優しくしてくれた恩人なんだ!これ以上神父の悪口を言うな………」
言ったら殺すとでも言うような風貌で悪魔を睨み付けた。細い眼から映る悪魔は一瞬悲しそうな顔をして笑った。
『………そっか、悪かったな。』
案外素直に認める。
珍しい。
「……だったら、もう二度と俺の前から現れるな。」
『…一松くん、俺な、神父に閉じ込められたせいで大事な人にもう10年も会えてないんだ。』
なんだ突然、そんなのは初耳だ。
『一松くんがその十字架を割ってさえくれれば、一松くんの夢には出て来ないし、大事な人に会えるんだ。だからさ…』
「これは神父の、大事なプレゼント。」
『……盲目的だね。』