【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第3章 黒を纏った、汚れなき心
一松は月に数回、こんな状態になる。
“人”に嫌われるのを極端に嫌うのだ。
俺はその気持ちが痛いほど分かる。
自分がどんなに頑張っても客観的な意見しか信用しない周りは“努力”を“怠け”と理解する。
そんな一松は俺にそっくりで、どうしても自分と一松を重ねてしまう。
あの時、助けてくれる手があったらどんなに楽だったのだろう。
その手を、一松に貸してあげたい。だが、あいにく俺は“人”ではない。貸してあげても一松の救いにはならないのだ。俺が一松のために出来ることは、こうやって二人だけの世界で一松の傷を抉り出し、痛みで一松を癒すこと。一度ついた傷が二度と戻らないのなら、痛みを解ってあげるしかない。
一松の気持ちは、痛いくらい分かるから。