【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第1章 出来損ないの、シスターさん
確かに考えてみれば、悪魔は何も悪いことはしていない。悪魔は僕に毎晩会いに来るけど、暴言も暴力も、一度もしていない。少し話に付き合えば、必ず帰ってくれる。
邪魔だと言ったら、十字架を割れさえすればもう二度と会わないと言った。
悪魔も、もしかして…
「…寂しかったんだな。」
『え…』
何だか、悪魔も自分と同じだと思うと、少し体が軽くなった。
『情をかけてくれるのかな?』
悪魔のクセに嬉しそうに笑いやがって。
情をかけたことが、そんなに嬉しいのか?
「…かもね。」
『もう一松くん大好き!また明日会おう?ね、遊ぼうよ!』
まるで子供の約束だ。毎晩会ってるクセに、約束って。
「毎晩いやでも会いにくるクセに。」
『一松くんがいつも嫌がるから、一松くんからOK貰いたいのー!』
NOと言っても、結局来るんだ。だったらやっぱり…
「お好きにどうぞ?」
『やったぁ!』
承諾すると、悪魔は嬉しそうに飛び回った。
『ほい!』
悪魔が小指を差し出した。やっぱり子供みたいだな。
「…へい」
差し出された小指を、小指で結んで、僕たちは約束を交わした。
第1章 END