【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第8章 彩りのない、運命は
「一松に帰ってこいとは言わない。ただ、せめて別れの挨拶くらいはしたいものだ。」
帰ってこいとは言わないのですね。
まあ、構わないですよ。
帰ってこいと言われても嫌ですし。
「別れの挨拶ですか。」
「ああ。」
そうですか。
…そうか。
なら、手短に進めよう。
「僕は、ひとりぼっちでした。ひとりぼっちで、何も出来ない不要な人間。」
だけど…
「だけど…あなただけは、僕に笑いかけてくれた。独りだった僕を兄のように接してくれました、僕の恩人です。」
「一松…?」
「…でも、限界です。
僕は悪魔に憑かれました。カラ松神父と違い、弱い人間だったから、です。」
弱い人間ですよね。
「悪魔に堕ちた自分は、教会に要る必要はありません。だけどあなたは…カラ松神父は優しいから、良い人だから許してくれる。だけど僕はその優しさが耐えられないのです。」
気持ち悪いくらい素直に言葉が出た。
まるで台詞のような自分らしくない言い方だったけど、これが僕の気持ちであることに違いはない。