【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第7章 最初で最後の、贈り物
「危ないッ!」
珍しく緊迫感のある声がした。
鎌が俺にふり下ろされ、きゅっと目を瞑った。
なのにふり下ろされたのは痛みではなく、柔らかい体温と鉄の臭いがする液体だった。
「ガハッ……」
苦しそうなおそ松の声にびっくりして、目をあけると、目の前には、口から血を漏らすおそ松だった。
「一松…怪我、ねぇか…?」
「おそ松!?何で俺なんか庇って…」
「大丈夫だっつの…俺らは人間よりずっと丈夫なんだからなぁ…?」
おそ松はゆっくりと立ち上がり、身体に付いた砂を祓うと大きな鎌を持った参拝者に微かな笑みを向けた。
「よぉ、久しぶりだな、トド松。」
「兄さん、やっぱり僕のこと覚えててくれたんだぁ?」