第1章 文化祭
「はぁ・・・」
4人が出て行ったとたん、桜は大きなため息をついた。
「どうしたんですか桜さん」
黒子がしれっと言う。
見ると桜は頬を膨らませて黒子を睨んでいた。
「もー!!黒子君のばかー!!なんであんなこと言うのよー!!」
桜は黒子の両の頬をつねった。
「おー 一体どうしたんだー?」
突然の桜の大きな声に、廊下に居た3人が入ってきた。
「な、何やってんすか・・・」
3人は、2人を見て呆れた顔をした。
「だってー黒子君がー!」
「どうしたのだよ桜」
桜は、黒子の頬をつねったまま半泣きで緑間を見上げた。
「僕は正直に言っただけですよ。放課後練習してた2人がとてもステキだったので。
それに、あのヒロインの心情は桜さんが一番分かりそうだったので」
そう言われると、桜はふと手を離した。
練習とはいえ、セリフを口にするたびに思っていたヒロインの心情。
会いたくても会えない想い人。やっと会えると心躍らせたヒロイン。
桜も、文化祭には緑間に会えると心を躍らせていた。
練習相手の洋介に緑間を重ね、気づかないうちにセリフに心がこもっていたのかもしれない。