第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
「そう…かな…」
「俺も思っていたが…何度か会っているのかい?」
「いえ…夏休みの終わりの頃と、ウインターカップの時…だけです」
「よく覚えてなーい」
ちらりと視線を送る桜に、気の無い返事を返す紫原。
「夏休み…って言うと、インターハイの頃か」
「たぶん、そうですね。街で偶然会って、持っていたお菓子あげたんです」
赤司の問いに、桜は思い出したように笑顔を見せる。
「んじゃ、緑間とは何処で会ったんだよ。学校違うって聞いたぜ」
眠そうな瞳で青峰が口を開く。
「えっと…それは…」
「俺も気になっていたんだ」
二人の視線を受け、恥ずかしそうにうつむく桜。
言葉に詰まり外に視線を向けると、コースからゴンドラに向かい手を振る集団を見つける。
「あ!あれ、みんなじゃないですか?」
笑顔で手を振る桜につられ、三人も視線を外に向ける。
ゲレンデにたたずむ緑間を愛おしそうに見つめる桜。
そんな桜の横顔を見て、赤司と青峰は顔を見合わせ困ったように笑った。