第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
下りのゴンドラ内、桜は比較的慣れている紫原の隣に座っていた。
向かいには頬杖をついて外を見る青峰と、ゲレンデマップに視線を落とす赤司の姿。
桜もまた外に視線を移すと、紫原がため息をもらす。
「…お菓子…食べたい…」
深刻そうにうつむく紫原を見ると、桜はくすりと笑い出す。
「お菓子もいいけど、もうすぐお昼だよ」
「パフェとか食べたーい」
「うーん…クレープ屋さんならあったけど…」
「クレープでもいいやー」
口元を拭う紫原を見て、笑顔を見せる桜。
「お前さーやけに紫原と仲、良いよなー」
「え…」
視線だけを巡らせた青峰の言葉に、思わず紫原を凝視する桜。