第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
「じゃあ真太郎、下で待ってるね」
「え?おい…」
手を振り背を向ける桜に慌てる緑間。
「真太郎は滑れるんでしょ?」
振り返った桜は、小首を傾げて緑間を見上げる。
「それは…そうだが…」
「だったら、せっかくだから楽しんできて。ほら…」
桜が指差した先には、コースに向かう黄瀬や高尾、氷室と火神の姿。
「桜には、俺がついて降りるよ」
薄く笑う赤司を、怪訝な顔で見つめる緑間。
「真太郎は気にしすぎだって。途中で見えたら手、振ってね」
桜は笑顔で緑間の背中を押す。
「行きましょう、緑間君」
黒子もスキー板を抱えて歩き出す。
緑間はため息をつくと、ぽんぽんと桜の頭を撫でて背中を向けた。