第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
ゴンドラを降りて、展望台に移動する。
「わー!きれー!」
青い空と、真っ白な景色に歓声を上げる桜。
「ホント、良く晴れた空ッスね」
「昨夜雪が降ったらしーから、雪質最高じゃね?」
高尾は斜面を見ながら黄瀬に声をかける。
「マジッスか?!楽しみッスね!」
「随分、直線的なコースだね…」
コースを見下ろし桜が呟く。
「ここは、他のゲレンデに比べて直線的なのが特徴なんだよ」
氷室が隣から説明を加える。
「へー…そうなんだ…距離も結構ありそう」
遠くに見えるゴンドラ乗り場を見つめる桜。
「ここから初心者コースもあるけど、一度下に戻ろうか」
不安そうに見つめる桜に、赤司が優しく笑いかける。
「はい…いつ下にたどり着けるか分からないです」
桜は困ったように笑って見せる。
「んじゃ俺も。ゴンドラで降りるわー」
「俺もー」
青峰と紫原はさほど景色も見ずにゴンドラ乗り場に歩き出す。