第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
二手に分かれてゴンドラに乗り込む。
先を行く黄瀬と高尾は、振り返り手を振っている。
桜は手を振り返すと、外の景色に視線を向けた。
「一面真っ白で、きれい…」
じっと外を見つめる桜の帽子を、突然目元まで下ろす緑間。
「わっ…何?!」
慌てて帽子を取り周りを見回すと、緑間はすました顔で、赤司が笑いをこらえている。
「今のは緑間君ですよ」
桜と目の合った黒子が平然と呟く。
「何するの真太郎!」
「お前が悪いのだよ」
「意味分からないし!」
桜は頬を膨らめて再び外に視線を向ける。
「苦労するな、緑間」
赤司が小声で呟くと、緑間はため息をついた。
「まったくなのだよ」
緑間の視線の先には、桜を見つめる黒子と青峰の姿があった。