第33章 雪の魔法
食事を終えた二人は、ソファーに座り外を眺めていた。
小さな庭園に置かれた雪見灯篭に雪が降り積もる。
傍らの露天風呂に流れ込む温泉の音と、湯気が風情を誘う。
しばらく無言で眺めていると、ふいに緑間が席を立つ。
「せっかくだ。風呂に入ってくるのだよ」
「え…ここの?」
「一緒に入るなら、歓迎するのだよ」
不敵に笑うと、脱衣所に消える緑間。
桜は言葉に詰まり、顔を赤くする。
「…ばか」
しばらくして聞こえてくる水の音と緑間の気配。
桜は早まる鼓動に小さく息を吐くと、ソファーから立ち上がった。