第33章 雪の魔法
赤司と繋いでいた手をほどくと、桜の肩を抱き寄せる。
「それくらいで十分だろう赤司。必要以上に桜を誘惑するな」
「残念。もう少しだと思ったんだけどね」
睨みつける緑間に、不敵に笑う赤司。
「桜はそんな軽い女ではないのだよ」
「それが魅力の一つでもあるな」
「二度と桜に近づくな」
「そう言うなよ緑間」
言い合う二人の間で、緑間に抱きしめられ頬を染める桜。
「改めて、よろしく頼むよ。桜」
赤司は右手を差し出し握手を求める。
ちらりと緑間を見上げる桜だが、視線を逸らされてしまう。
桜はそっと手を差し出すと、赤司の手を握る。
「俺は京都にいるから滅多に会えないけど、いつも桜を想うよ」
赤司は緑間に視線を向けると、隙を見て桜の頬に唇を寄せた。
「え?!」
「赤司!」
驚く桜を、両腕で抱きしめる緑間。
「二度と近づくな!」
威嚇するように睨み付ける緑間に、笑顔で応える赤司。
そんな緑間を見て、思わず笑い出す桜。
「お前も、隙を見せるな」
「はーい」
肩を震わせながらも、笑顔で答える桜だった。