第33章 雪の魔法
橋のたもとで甘酒を買った桜は、橋を見ながら口をつける。
「真太郎はいつものおしるこ缶だね」
「あぁ。たまには飲んでみるか?」
差し出されたおしるこ缶を受け取ると、甘酒を差し出す。
「甘酒も美味しいよ」
「少しもらうのだよ」
お互いに一口、口をつけると笑い合う。
「あ…また降ってきたね」
舞い降りてきた雪に空を見上げる桜。
そんな桜を寂しげな表情で見つめていると、背後から声をかけられた。
「似ていると思ったら本人とは…驚いたな」
聞き覚えのある声に振り向くと、赤司が立っていた。
「赤司…なぜここに…というのは愚問か…」
「そうだな。俺は京都に住んでいるわけだし」
平然と会話をする二人の傍らで、桜は緑間の服を掴み隠れるように身を縮める。
「相原さんも、また会えてうれしいよ」
覗き込むように声をかけた赤司に、視線を逸らす桜。