第33章 雪の魔法
「ちょっと真太郎、冬休みに桜ちゃんと何処にも出かけてないって本当なの?」
緑間が戻って来るなり、母親が驚いた様子で声をかける。
「突然何なのだよ。ウインターカップでそんな暇は無かったのだよ」
面倒そうに答えると、桜の隣に腰を下ろす。
「はい。真太郎のお茶」
「ありがとうなのだよ」
桜からカップを受け取ると、口をつける。
「桜ちゃん、本当に真太郎でいいの?」
ふいに母親が真剣な顔つきで桜に話しかける。
「街で一緒にいた高尾君…だっけ?あの子の方が楽しそうじゃない?」
高尾の名前が出た瞬間、お茶を吹き出しそうになり咳き込む緑間。