第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「膝枕の話は聞いたが、なぜ温泉にいたのだよ」
「えーっと、桐皇との試合の後、リコ監督のはからいで…」
うつむき、答える桜。
「あ!次の日から合宿だったけど、山を使った警ドロとか楽しかったよ」
桜はふいに笑顔を見せて話し始める。
「ファルトレクって言う訓練の一つなんだけど、みんなに混ぜてもらって…」
緑間の表情を見て桜は次第に声を小さくした。
「余罪がありそうなのだよ」
「い、いえ…あくまで合宿なので…それ以上は、特に…」
桜は再びうつむいてしまった。
そんな桜を見て、薄く笑う緑間。
「今回の桐皇戦の後は、黒子に抱きしめられていたようだが」
緑間の言葉で桜は頭を巡らせたが、慌てたように声をあげた。
「ち、違うよ!あれは肩のところに、頭をうずめた…だけで…」
弁解のつもりが次第に墓穴を掘ったようで、言葉を詰まらせる桜。