第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「まさか、お前が赤司の所までたどり着くとはな。褒めてやるのだよ」
「なんで上からなんだよ、おめえはよ!」
緑間の物言いに、不満をあらわにする火神。
「つーか、なんでこんなとこにいんだよ」
「別に。物思いにふけっていただけなのだよ」
火神の質問に、表情を曇らせる緑間。
「なんだそれ。お前だって明日三決あんだろ」
「かまわん。不本意だがすでに結果は見えている」
緑間は余裕の表情で眼鏡を押し上げる。
「そのあとついでに、お前達の試合も眺めていくことにするのだよ」
「赤司の応援でもすんのかよ」
「するかバカめ」
火神の言葉に即行で返す緑間。
「奴に応援など必要ない…赤司は強いぞ」
鋭い視線の緑間に笑みを浮かべる火神。
「わかってら。でも、やってみなきゃわかんねーぜ」
その言葉を聞いて、緑間は立ち去ろうとする。
「一つ教えてやるのだよ。赤司征十郎は二人いる」
「何言ってんだ!どういうことだよ」
去り際の言葉に食いつく火神をよそに、そのまま立ち去る緑間。
しかし、黒子の姿を目にすると足を止めた。